Vol.01

新装「魔界百物語」で、氷室想介が現代に甦る!
梶原秀夫(ノアズブックス 出版プロデューサー)



 2010年暮れから2011年にかけて、吉村達也氏と話し合いをつづけた。そして、今回の企画が決定した――。

 アートディレクターに、フランス語、英語、日本語のトリリンガルで、西洋と日本の両方のセンスを理解するデザイナー、ジャン=フィリップ・K氏を起用。

彼は、カバーのビジュアルを先に作る、という。


なんとも大胆な発想である。まだ、著者がリニューアルの原稿を一行も書いていない段階で、前作のイメージだけでカバーを作る、というのだ。



また、イラストレーターの、たかなししん氏には、全5巻のカバー画を一気に描き上げていただいた。


2011年が明け、出来上がったカバー・デザインを持って吉村氏と京都で会った。

京の底冷えがきつかった夜、明治時代に建てられたクラシックな町屋に宿泊して、打ち合わせをした。昼間、吉村氏が買ったオクトモアを飲みながら……。


ここで吉村氏から、予想もしなかった言葉が出た。

「リニューアルなんて小手先のリメイクはやめよう。魔界百物語のシリーズは、時代背景も変えて、ぜんぶ一から書き直す!」


驚いた。大変な作業であるのは、言うまでもない。それでも、作者の強い意志が、これを可能にしたのである。


SEASON I は、魔界百物語1『妖精鬼殺人事件』から始まる。


これは、まったく新しい物語に仕上がっている。

しかも、登場人物の設定とストーリーの流れは変わっていても、その基本骨子やQAZの正体に関しては、まったく変わっていない。


第2巻の『京都魔王殿の謎もしかり、第3巻『幻影城の奇術師、第4巻『殺人者の舞踏会の3作も同様。そして、第5巻の新作『QAZで SEASON I が終了。


引き続き、SEASON II に入っていくことになる。



第1巻、第2巻と読んだが、ミステリーの王道をいく仕上がりである。そこに、改めて吉村達也の凄さをみた思いだ。


第1巻の「解説」は私が書いているが、その文章の一部を最後に載せて、プロダクション・ノートvol.1の締めとしたい。


………………

『妖精鬼殺人事件』は「魔界百物語」の幕開けに相応しいミステリーです。


少年の死の真相をあぶり出していく氷室想介の推理力は、読んでいて何度となく驚かされました。

僕が何度も「すごい!」と声をあげるものだから、そのつどリビングでくつろいでいた家人を驚かせたものです。


この第1弾は、まさにミステリーの王道ともいうべき推理劇に仕上がっています。


プロローグからして、意外な雰囲気を予感させますし、息もつかせぬ展開のドラマは、まさしく吉村達也の真骨頂です。